グルーヴィ サービスデザイン ラボ

サービスデザインに関する情報、及びそれを用いたライフハック術などを記事にしていきます。

サービスデザイナー、その職業とは。

サービスデザイナーとは

サービスのデザインをする職種がサービスデザイナーです。

まだ歴史が浅く、サービスデザイナーを名乗っている人を今まで見たことがありません。ですが、確実に世界に存在しています。

詳しく勉強されたいという方は、樽本徹也さん著の「ユーザービリティエンジニアリング」を読まれるのが早いと思います。めっちゃおすすめです。一緒に勉強しましょう。

ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―


私もこの本を読んで経験に対して知識の裏付けを行いました。
サービスデザイナーの教科書みたいな本です。

さて、ざっくり概要だけでいいや、という方は私のブログでも見ていってください。

サービスデザイナーの仕事

サービスデザイナーの主な仕事は「ユーザー体験の設計(デザイン)」です。


最近ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)なんて言葉を聞いたことがある方も増えてきたのではないかと思いますが、まさにこれがユーザー体験のことです。

webやアプリの開発現場では、このユーザー体験をサービスに落とし込む作業をプランナーやディレクターやプロデューサーという方々が行っています。

過去の現場ではこのサービスデザインの領域は明確に区切られておらず、専門的な知識を持たずして、勘や経験によってサービスが構築されて来ました。

しかし、web業界に「グロースハック」という概念が持ち込まれて以降、サービスデザインを改善する職種として「グロースハッカー」という職業が生み出されました。私は会ったことがありませんが、そういった肩書きの方がいらっしゃると聞いたことがあります。

そしてその後web、アプリ業界はソシャゲバブル期に入り、グロースハッカーたちが大いに活躍しましたが、現在、市場の熟成により、サービスデザイナーの必要性が増していると肌で感じています。

しかしネットに良き記事が見当たらず、現在は書籍を通じて勉強するしかない状況です。サービスデザイナーという職業の認知と地位向上のため微力ながら本ブログを通じて情報をお伝えできればと思います。

サービスの入り口から出口まで設計するのがサービスデザイン

サービスを利用するとき、必ずエンドユーザーたるお客様はサービスの提供を受ける入り口を通ります。

わかりやすくファミレスをサービスの例に挙げますね。
1)まずお客様がご来店された時、ホールスタッフは「いらっしゃいませ」と言いますね。
これがサービス利用開始時の入り口の体験です。

2)来店したお客様に対し、ホールスタッフは空いている席に案内して着席を促します。
3)メニューを提示して、決まったら呼び出しボタンを押して呼び出すように案内します。

4)お客様は渡されたメニューの中から好きな料理を選んでテーブル上の呼び出しボタンを押します。
5)その間、ホールスタッフはお客様に出すお水とおしぼりを用意します。
6)お水とおしぼりを運びつつ、お客様の注文を聞きます。

7)注文されたオーダーの内容を手元の端末で入力。
8)オーダーは店内に張り巡らされたネットワークにより厨房に送信されて、調理担当が順番に料理を行います。
9)出来上がった料理から、バックヤードのカウンターに並べられて
10)ホールスタッフが最後の盛り付けなどを行います。
オーダーからここまでにかかる時間は混雑時でなければだいたい5分〜10分程度。

11)ホールスタッフは盛り付け終わった料理をお客様の元に運びます。
12)お客様が複数人の場合、ほぼ同じタイミングで同席している全員分の料理を運びます。
13)最後の料理を運び終わったら来ていない料理がないか確認して
14)伝票を置いて去ります。

15)お客様は楽しく食事をします。
16)食事が終わったら伝票を持ってレジへ向かいます。
17)レジにてお会計を済ませてお客様は退店します。
18)会計を担当したスタッフは「ありがとうございました」と感謝の意を伝えます。

ここに書いてある内容はファミレスをよく利用する方ならば
普通のことであると思われるでしょうが、過去に誰かが考えてお店に導入したことです。

最初からこの形だったわけではありません。
スタッフの呼び出し、料理が出されるまでの時間、お客様のテーブルに運ばれるまで。
効率化を目的として時間をかけてゆっくりと熟成され、このサービスの形がデザインされてきました。
おかげで我々は気持ちよくご飯を食べて会計を済ませることができます。

もう一つ、サービスデザインにおいて重要なのは、スタッフの行動に対するデザインです。
実はこの後、以下のフローが行われます。

19)ホールスタッフは次のお客様を迎え入れるために、テーブルの上の食器を回収してバックヤードへ運びます。
20)その後、テーブルを拭いて椅子をなおし、次のお客様をお迎えする準備を整えます。
21)厨房にて使用済みの食器を洗い、乾燥させて食器を保管します。
22)割れやヒビの入った食器は交換します。
23)食材の在庫管理、仕込み、仕入れ、などを行います。
24)店舗全体の清掃を行います。
25)釣り銭の準備、売上金の保管を行います

等、業務については挙げ出したらキリがありませんが、
お客様に満足していただくために細かい業務上のルールの設計が行われています。

目的は効率化であり、お客様に対して最適なサービスを実現するにあたり、
スタッフに過度な負担が発生しないようになっているというわけです。

サービスのデザインはコストやリソースまで含まれる

サービスの設計で重要なのは顧客のための設計ですが、
スタッフのための設計もされていないと最適なコストでサービスを行うことができません。


コストがかかり過ぎてしまうと、それは売値に反映されてしまうためです。
提供する商品に対して、価格が不当に高ければお客様には買っていただけません。

ここでいうコストとは、時間、労力、スペース、他、サービスを提供するにあたって消費されるモノ・コト・時間・人のことをさします。
様々なサービスには必ずコスト(もしくはリソースと呼んだりもする)がかかります。

サービス設計を行う場合は、このコストの部分の設計も重要になります。
この部分を設計することによりスタッフの労働条件も含めて適正になり、
お客様への提供金額が適正になるのです。

それはお客様の満足度を向上させ、サービスを継続して利用するモチベーションに繋がります。

良いサービスの指標は続けて使おうという気持ち「継続率」

ファミレスではご飯を食べることに対してお金を支払っているように思われますが、
実はサービスそのものにお金を支払っていると言えます。

上述した通り、サービスの内容全てに対して、妥当な金額感が設定されているのです。
もし、ファミレスの料理が単品で1万円以上するのであれば、顧客はそれ以上のサービスを要求するでしょう。また、いつ行っても釣り銭がなくて待たされたら不満がたまりますよね。

サービスに対して顧客が満足しているかどうかを表す概念に顧客満足度というものがあります。顧客満足度の高いサービスはもう一度このサービスを使おうという気持ちを生み出します。
これはサービスデザイナーが最重要視する「継続率」という指標に繋がります。

また、他の人にも教えてあげよう、という気持ちも生まれます。
これが口コミの発生要因になり、顧客が増える結果に繋がります。
こういった、何度も来店する顧客や口コミで他の顧客を連れて来てくれる顧客は
”ロイヤルティが高い顧客”と言われます。

顧客満足度と顧客ロイヤルティの高い状態を作り出すのがサービスデザイナーの使命と言えるでしょう。

今日のまとめ

・サービスデザイナーという仕事はサービスの入り口から出口まで一連の設計を行います。
・顧客だけでなくスタッフに対してもサービスデザインが行われます。
・売り上げやコストについても考えられています。
顧客満足度と顧客ロイヤルティの高い状態を作り出すのがサービスデザイナーの使命

ここまで読んでもっと詳しく知りたくなった方は
樽本徹也さん著の「ユーザービリティエンジニアリング -ユーザーエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法-」を読んだ方がいいです。おすすめです。 

ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―

 次回以降はより掘り下げて具体的なプロセスなどをご紹介できればと思います。